TKの山とか日常、時々虫取り

山行記を書くために始めました。色々書いてみたいです。

John Muir Trail セクションハイク山行記:道端 ⇒ Alger Lake(登山2日目)

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この記事の要約

 ふて寝から目を覚ますが状況は変わっていなかったので、とりあえず前へ歩き出すTK。おじさんから虫除けをもらい、雨に打たれながらも歩み続けたその先には、進むごとに様々な表情を見せる圧巻の景色が待っていた。そして2日目の難所であるKoip Passを完全攻略し、峠の頂で高らかに宣言する。

「ブッ殺した・・・!!」

2日目の行程

 2日目はこの旅行で最長の行程となった。しかも中盤にはKoip Pass(3810m)があり、Alger Lake到着時には満身創痍だったが、無事昨日の遅れを取り戻した。

道端 ⇒ Parker Pass

 朝目が覚めると、私は傾いたテントに横たわっており、横にはクソ重いバックが鎮座していた。どうやら昨日から状況は一切良くなっていないらしい。嘆いても仕方がないので朝食として素麺をすする。水が少なかったのか、粉っぽくて美味しくなかった。
 とりあえずテントを片付けていると、登山道から足音が。見ればこんな朝早くから下山をしている、綺麗な白髭のおじさんが歩いていた。 僥倖!このおじさんに虫除けのワンプッシュでもいただこうではないか!すぐさま走り寄り、挨拶をかます。そして虫除けをワンプッシュ頂戴をおねだりしてみた。
 返事はOK!うぉぉぉ神に感謝。皆さんアメリカはいい所です。そして全身にプッシュした後、おじさんに虫除けを返そうとすると、それを再び私に差し出しておじさんはこう言った。
「No, Keep it」
 ありがとう、優しいおじさん。こうして私は、おじさんから新品同然の虫除けを頂いたのだった。今思い返せば、この一言のおかげで私は最後まで歩を進められたのかもしれない。それ程に愛と勇気をもらった。

 心機一転歩き出す。昨日までの辛さはどこに行ったのか、心も体も軽くなっていた。雨も降りだしたが幸いにも小雨。雨具に着替え歩き続けると、登山道は針葉樹林を抜け一面の草原・礫地帯に進んでいく。
 高所の草原・礫地帯に視界を遮るものはなく、未だに雪が残る山々が目の前に姿を現した。遠くにオグロジカの群れも見える。その姿に見とれていると、奥に視界で唯一の人工物が。そこにはParker Passと書かれた看板があった。

左:森林を抜けた草原 右:Parker Passの看板

Parker Pass ⇒ Koip Pass

 Parker Passを越えると若干の下り調子に。歩きやすい登山道をルンルンで進むと、奥にいくつかの小さな湖が姿を現した。 いい景色!少しの間この景勝地で休憩。休憩しながら地図を確認すると、本日のメインディッシュであるKoip Passが見えることに気が付く。 あれ登るん!?誰作ったんこんな道!?と少しは思ったが、後ろ向きなことを考える私はもう過去の話。「あれ登ったらかっこいいな」と前向き私しかその場にはいなかった。体力も回復したので、礫と雪を踏みしめ出発。

 トレランシューズのため雪に苦戦しながらも前進。次第に前の景色が開け、遠くには道路まで見えるではないか。このまま直線番町すればもう登らなくてもいいのでは?と邪念が浮かぶ。そうこうしているうちにKoip Passの根元まで到着。近くの湖で最後の補給をし、いざ尋常に勝負。

 特に特筆すべきことはない。ただ上へ登った。この時ばっかりは、自分は山を登る機械だった。一息ついた時に景色を楽しみ、また無心で登る。高校山岳部時代、1番体力がなく先輩達に必死に追いついていた時を思い出す。そしてKoip Passの九十九折りが終わり、緩やかな登りとなったときに後ろを振り返ると、圧巻の景色が。自分の周りにあるのは礫と雪、下を見れば心なしかの草原地帯。今まで見たこともない景色に「自分は辺境の地にいるのかも...」そう思わせる光景だった。

 一方で、少し不安も募らせた。ここは今日歩いてきた道を一望できる場所だが、人っ子一人見当たらない。もしここで動けなくなりでもしたら、少なくとも1日は誰も現れない事だろう。登りは残り少ないが、ここからはさらに慎重に歩ていった。

 先の緩やかな登りの登山道は礫のみで作られており、さながら火星を思わせるような雰囲気だった。ゆっくり進んでいくと遠くには小さな看板が。掠れた文字をよく見ればKoip Passの文字が見える。私は完全勝利を確信し、片手を上に掲げこう宣言した。

「ブッ殺した・・・!!」※

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左:休憩地点からの景色 右:遠くから見たKoip Pass
左:Koip Passの途中。下に今まで歩いた道が見える。 右:Koip Passの最高点

Koip Pass ⇒ Alger Lake

 Koip passを越えれば、すぐにこの先進むであろう道とAlger Lakeを一望できる場所に来た。氷河が長い時を重ねて作り出したであろう地形が一望できる、絶景だ。ここからしばらくこの景色を見ながら歩け、その中へ入っていけることに心を躍らせた。
 登ってきた道と同様に下りの道も九十九折りだ。礫の中の浮石を踏まないように慎重に降りていく。次第に近づいてくる氷河に見とれながら降りていけば、九十九折りも終わった。もう少し行けばAlger Lakeだ。Koip Passから見えたあの湖畔にテントを張れたらなんて心地いいのだろうか、そんな考えをしていたらAlger Lakeに到着。

 あまりにも綺麗!静かな湖畔の奥には荒涼とした山々と、湖を作りだした氷河が望めた。登りに夢中で昼食を取り忘れていたので、遅めの昼食を取りながらテントを張る。
マジでサイコォォォォォの気分! この景色が見れたなら、今日頑張った分を差し引いてもおつりがくるだろう。湖畔をお散歩しならが水を補給し、太陽が山々に隠れると同時に寝袋に入った。

 夜中、寒さで目が覚める。用を足しに外へ出て見れば満天の星空があった。慌ててカメラと三脚を抱えて撮影タイムに移行。あまり星空の撮影経験はないがなんのその、圧倒的な煌めきがカメラに吸い込まれてくる。色んな角度で撮影した後、寒くなってまた寝袋へ。

 今日という日を味わいつくし、明日は遂にJohn muir trail合流とこのルート最大の目玉であるThousand Island Lakeへ出発する。明日もきっと歩き切れる、そんな気がした。

左:今後のコースを一望 右:本日のキャンプ地

満天の星空

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