TKの山とか日常、時々虫取り

山行記を書くために始めました。色々書いてみたいです。

John Muir Trail セクションハイク山行記:東京 ⇒ Mono登山口

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この記事の要約

 注意文をよく読まなかったためアラスカ行きを断念し、John Muir Trailに目をつけるTK。初の韓国乗り継ぎ、アメリカ上陸で様々な衝撃を受けながらも、ヨセミテ国立公園に到着。登山口行きのバスで寝過ごし道路を戻っていると、アメリカ人女性に逆ナンされるのだった。

いざ、出発...の前にやらかし

 実は計画段階で大変なやらかしがあった。本来この旅行は「アラスカ・デナリ バックパッキング山行」になるはずだったのだ。
 アラスカまでの航空券(成田 ⇒ 仁川 ⇒ シアトル ⇒ アラスカ)を予約し、では色々詰めていこうかという段階になって、あることに気が付いた。デナリ国立公園の奥地へ続く橋が落ちているではないか。そういえば航空券を予約する前も、そんなことが書いてあった気がする。公式サイトはよく読もうね。

 という訳で予定変更。航空券の再予約費を極限まで抑えられて、尚且つ面白そうな場所を探し回った。そして見つけたのがJohn Muir Trailというわけだ。行きの航空券はキャンセルができなかったので、シアトル ⇒ サンフランシスコの航空券を予約し、シアトル ⇒ アラスカの飛行機はブッチした。成田空港で事前に伝えたおかげで預け荷物の受け渡しもスムーズにいった。

 本来褒められた行為ではないが、こうして私はサンフランシスコへと旅立つことになったのである。

いざ、出発

成田 ⇒ サンフランシスコ

 家を出発し、夜行バスで新宿に向かう。就職以来親の顔より拝んだバスタ新宿を後にし、そのまま上野に行き、スカイライナーで成田へ。コロナ明けの海外旅行ラッシュで、空港はとても混雑していた。

 航空機に乗り込み、まず韓国・仁川空港へ。無事到着し手荷物検査を受けるときに、とんでもない事件が起きる。めちゃくちゃ可愛い空港職員さんがいるではないか。ネットでみる韓流アイドルのような美貌に、TKは韓国再訪を決意。別れを惜しみながら、本場のスンドゥブとキムチを食べる。韓国人の友人にメッセージすると、「もっとおいしい物おごるからさっさと入国審査を通過しろ」と言われてしまった。何を言っているかわからないので、足早にシアトルへ出発。

 シアトル行きの航空機では、隣に中国人親子が座っていた。子供の方はまだ15歳で、アメリカの中学を卒業し、つかの間の帰省の後、再度アメリカに戻り高校に入学するらしい。彼はおしゃべりで色んなことを話してくれた。高校生活への期待や、日本と中国の違いなど、若々しい価値観の人間と話す時間はとても楽しかった。

 そんなこんなでシアトルへ到着し、初のアメリカ来訪! シアトル空港のクソ長い入国審査の列から脱したらお腹が減ったので、お弁当を買うことに。コンビニのちょっと大きなトルティーヤの値段を見てびっくり! 驚異の12ドル(約1800円)! これからの道中、まともな飯が食べれるのか、一抹の不安がよぎる... なにはともあれ、搭乗口で危うくフライトを寝過ごしかけるトラブルもあったが、無事サンフランシスコへの航空機へと乗り込んだ。

 そしてついにサンフランシスコ到着! 航空機が降り立つ頃には夜20時を回っていたが、日が長いと噂の「霧の都」はまだ十分に明るかった。明日からは鉄道での移動になるので今日はここで宿泊。円安の時世もあってお金がないので、空港のベンチで就寝。費用が掛からないというだけで、五つ星ホテルの称号をあげちゃいたいくらいだ。

左:成田空港の出汁茶漬け屋さん。右:仁川で食べたスンドゥブ

 

左:シアトル、地獄の入国審査 右:五つ星ホテル


サンフランシスコ ⇒ Merced

 空港のベンチは中々寝苦しかったが、充電もすることができ準備万端。今日から本格的なアメリカ旅行が始まる。今夜はヨセミテ国立公園への中継点、Mercedに宿を取っているのそこまで移動する。

 10時前Emeryville駅発のAmtrak(旅客鉄道)に乗るために、BART(電車)を使って最寄り駅のMacAthur駅へ移動。空港を出たBARTから最初に見えた景色は、一面霧に覆われたサンフランシスコの街並みだった。まさに霧の都。しばらくBARTに揺られ、霧も晴れてきたころにMacAthur駅に到着。

 ウキウキで電車を降り気づいた。 空気がクセェ。 雨の匂いを凝縮したような、土とコンクリの混ざり合った匂いが充満していた。道端にゴミも沢山ある。なるほど、そーいう感じね。この時は「駅前だけかな?」と思っていたが、都市部はどこへ行ってもこんな匂いがしていた。

 住宅街をテクテク歩いてEmeryville駅に到着。駅のホームと線路は信じられないほどシームレスにつながっており、奥には自殺予防ホットラインの看板が林立していた。ここはサンフランシスコの自殺の名所である、そう確信するには充分な光景だった。
 電車に轢かれないようにホームで待っていると、いかにも北米大陸な車両が到着。Merced行きに乗り込みしばし景色を楽しんでいたが、旅の疲れもあってか、すぐに眠りについてしまった。

 そして目を覚ませば、目を焼き尽くさんばかりのカリフォルニアの日差しが目に飛び込んできた。 目が痛ぇ! 外を見れば、どこまでも見える地平線、砂、農場。うぉぉぉアメリカって感じ!景色に興奮するのもつかの間、二度寝かまして起きる頃にはMercedに到着。Merced駅もシームレスな作りをしていた。

 駅を出て、本日の宿であるAirbnbへ直行。アメリカンなおじちゃんおばちゃんに快く迎えられ、3日ぶりのシャワーを浴びて体もピカピカに。シャワーを浴びたら、山行中の食料を揃えにWalmartへ。あまりの物価の高さに奥歯をガタガタ言わせながら、小売りの巨人の体内を散策。店内にはベビーカーからライフルまで揃っていた。
 あらかた物を揃えAirbnbへ戻ると、おじちゃんがファストフード店へ連れていってくれるということで、そこで夕食を済ませる。食事を終え、3日ぶりのベッドへゴロン。山を下りるまで最後のベッドを味わいながら眠りについた。

左:この日一番の大物 右:自殺の名所、Emeryville
左:Amtrakの車窓から 右:In-N-Out Burger


Merced ⇒ Mono登山口

 寝坊しないか不安だったが、7時半出発のバスに間に合うように起床。Airbnbのおじちゃんおばちゃんにお礼をいい、昨日電車を降りたMerced駅へ戻る。バスが遅刻しないかドキドキ。実は時間がギリギリで、1時間の遅れが出ると私は入山許可証を受け取れず、旅行は空中分解になってしまう。
 そしたらなんと、定刻より早くバスは到着!私の思うよりアメリカ人は働き者みたいだ。バスの乗り込みほっと一息ついたと思えば、気づいたころには周囲に建物は見当たらず、小高い丘と荒涼とした大地の景色。そして周囲には、高揚と不安の匂いが立ち込めていた。

 バスの中でぼーっとしていると、左手に断崖絶壁が見えてきた。これ、公園のHPで見たやつだ!ついにヨセミテ国立公園に到着!バスは40分程遅れており、ギリギリで公園事務所に駆け込む。事務所で基本的なルールの確認と入山許可証の発行を行い、これでやっと山に入る権利を手に入れた。あとは登山口行きのバスに乗れば晴れて登山スタートになる。時間があるので昼食と最後の食料補給、ヨセミテ渓谷の名所でもあるヨセミテ滝の根元までお散歩した。

 いい時間になったのでバス停に行きお昼寝をかましていれば、バス到着の音で目が覚める。うぉぉぉ旅の始まりだぜ!バスに乗り込みいざ出発!そして景色を楽しむ間もなく二度寝。目が覚めて現在地を確認すると、降りる場所を2kmくらいすぎているではないか。寝過ごした!慌てて運転手に伝え、道路に下ろしてもらう。やらかした... この時すでに5時を回っており、暗くなる前にできるだけ進みたかったのに... ボヤいても仕方がないので道路を逆走。まだ暗くもないし景色がかなりいい感じ、ウォーミングアップには丁度いいかと歩き始めたその時、ボロボロのセダンが私の横に止まった。

 「どこまでいくの?乗っていきな!」
 緑髪メッシュの女性が心配そうな面持ちで話しかけてきた。渡りに船とはまさにこのこと。人の好意に甘えるのは上手なので、迷わず乗り込む。
 彼女はヨセミテ公園からサンフランシスコに帰る途中のようだった。たった2kmの道のりだったが、激励とピスタチオのお菓子をいただいた。感謝を伝え車を降りようとすると、電話番号を聞かれた。なにかと思えばサンフランシスコに戻ったときに、一緒に食事をしようとのこと。 何このステキイベント~~!! 私のBIG BRAINが熱を持ち始めたが、あいにくアメリカの電話番号は持ち合わせていなかったので、相手の電話番号を控えて再開を誓った。

 思わぬイベントにドキドキが隠せなかったが、ついにMono登山口に到着。登山口の看板を見た時には、さっきの出来事は頭からすっかり消え去っていた。

左:街を出れば荒涼とした大地 右:ヨセミテ滝(バスの中から)
左:ビジターセンターにて 右:Mono登山口

 

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